横浜地裁 平成6年1月25日判決 (訟務月報43巻8号1741ページ,判例時報1481号19ページ,判例タイムズ845号105ページ)

  • 企業の排出行為に基づく大気汚染被害について、条理、港湾計画・浚渫工事・埋立事業への国の関与、行政指導、ばい煙規制法を根拠として、国の排出規制権限を肯定することはできず、その不行使責任を問うこともできないとされた事例。
  • 工場の排煙と自動車の排気ガスに基づく複合大気汚染による健康被害につき、広域工業地帯に立地する複数の個別企業の損害賠償責任は認められたが、国及び首都高速道路公団の責任は認められなかった事例。
  • 工場等の操業・自動車道路の供用による大気汚染物質の排出について、抽象的な制限を命ずる差止請求が認められなかった事例。
  • 複合大気汚染による健康被害につき、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく補償給付等は、給付の限度において損害賠償額から控除されるべきである。
  • 二酸化硫黄による大気汚染行為につき、企業らは広汎な健康被害をもたらすことを認識して排出行為を行ったとまでは認め難いとした事例。