横浜地裁 平成25年2月28日判決 (自保ジャーナル1896号144ページ)
- 交通事故によって下顎骨骨折、顔面挫傷等の傷害を負い、顎運動障害(咀嚼障害・歯牙障害)、顔面線状痕の症状(併合11級)を残した被害者(症状固定時23歳・男・会社員(路線補修業))の逸失利益につき、被害者の従事する作業には重量のある物の手おろしもあり、顎運動障害が支障となること、同障害のため咀嚼困難な食物が増え、飲食に影響し体重が激減していることから、現在減収が生じていないとしても、転職・配置転換の際に支障が現実化する可能性が高く、基礎収入を事故前年の収入とし、定年までの44年間につき、14パーセント(咀嚼障害の12級に相当)の労働能力を失ったものとして算定された事例。
- 交通事故被害者の損害賠償額の算定につき、弁護士費用の算定に当たっては賠償残額(1302万4276円)の1割以下で相当因果関係を認めるべきであるが、慰謝料額の算定に当たって1万円単位で算定をしているため、損害賠償総額の算定に当たっても1万円単位で算定すれば必要十分であるとして、弁護士費用を129万5724円とし、総額を1432万円とするとされた事例。
- 信号機のない交差点で、被害者運転の自動二輪車と加害者運転の普通自動車が出会い頭に衝突した事案につき、本件事故は当事者双方が左右の安全確認を十分にしないまま交差点に進入したことが生じており、双方に過失があるが、加害者側に一時停止標識があり、加害者はこれを認識しながら考え事をして一時停止を怠り、衝突直前まで被害者に気づかなかったため、主として加害者に責任があり、過失割合は被害者15対加害者85とするのが相当であるとされた事例。