事例紹介

当事務所が過去に携わり勝訴的判決を勝ち取った判決で、判例集に掲載された事案の一部をご紹介いたします。

横浜地裁 平成23年3月9日判決 (判例地方自治355号72ページ)

  • 河川が増水した際、河川区域内のキャンプ場の土砂が流出する被害が生じたとしても、河川の管理に瑕疵があったといえず、管理者に権限不行使の違法があったともいえないとされた事例。
  • 河川が増水した際、河川区域内のキャンプ場の土砂が流出する被害が生じたとしても、河川の管理に瑕疵があったとは認められず、管理者に権限不行使の違法があったとはいえないとされた事例。
       

東京高裁 平成22年11月11日判決 (裁判所ウエブサイト,判例地方自治349号11ページ)

区の住民である控訴人が、区の教育委員会に対し、区の情報公開条例に基づいて行ったある学級に関する文書公開請求につき、区教育委員会から、本件各文書は非公開事由に該当するとして、本件各非公開決定を受けたため、本件各非公開決定の取消しを求めたものの、原審で請求を棄却されたことから、その一部分につき控訴した事案において、本件文書は別件住民訴訟で証拠として提出されうる文書であるが、これをもって直ちに本件文書を本件条例の非公開事由である争訟に係る事務に関する情報であると解することはできず、また、本件文書の公開請求が公開請求権の濫用に当たるともいえないとして、原判決を一部取り消し、請求を一部認容した事例。

東京地裁 平成22年10月22日判決 (判タ1350号176ページ,判例地方自治343号30ページ,季報情報公開・個人情報保護41号39ページ,ウエストロー・ジャパン)

被告区の情報公開条例に基づき、区長に対して区長車等のガソリン代にかかる文書の公開請求をした市民オンブズマンのメンバーである原告が、区長から本件公文書は存在しないとして非開示決定を受けたため、本件公文書は存在するにもかかわらず区長は非開示決定をしているから同処分は違法であり、また、同処分で付記された理由も不十分であるから違法であるとして、被告区に対し、損害賠償を求めた事案において、本件で、被告区は、本件対象文書の記載内容自体からは、区長車等に係る部分が特定できないため、本件公文書に当たらないと判断したと主張するが、本件非開示処分に合理性は認め難く、同処分における理由付記も不十分である上、被告区が本件対応をした根拠となる考え方も容易に採用することのできない独自の見解であるから、本件公開請求に対する対応としての被告区の職員の行為は違法であり、少なくとも過失があったとして、請求を一部認容した事例。

東京高裁 平成22年9月15日判決 (判例タイムズ1359号111ページ)

  • 漁港漁場整備法39条1項に基づく漁港区域内の公共空地及び水面の一部の許可の権限を有する行政庁は、国有財産法における公共用財産の管理の趣旨に沿って許否を決定する裁量権を有するものというべきである。
  • 漁港漁場整備法39条1項に基づく漁港区域内の公共空地及び水面の一部占有不許可処分について、裁量権を逸脱、濫用したものとはいえず、裁量権の範囲内において県許可基準に沿って適法になされたものとされた事例。
  • 漁港区域内の土地及び水面上に現存する建物及び桟橋を所得したと主張する被控訴人が漁港区域内の公共空地及び水面の一部占用許可申請をしたところ、漁港事務所長がこれを不許可としたので、漁港管理者である県知事に対し本件不許可処分の取消しを求めた事案の控訴審において、漁港事務所長には国有財産法における公共用財産の管理の趣旨に沿って諾否を決定する旨の裁量権が認められていたところ、本件不許可処分は社会通念に照らして著しく妥当性を欠くようなものではなく、前記裁量権を逸脱濫用した違法なものということはできないとして、被控訴人の請求を容認した原判決が取り消された事例。
  • 漁港漁場整備法に基づく漁港区域内の公共空地及び水面の一部占用許可申請に対する漁港管理者(知事)の不許可処分に、裁量権を逸脱又は濫用した違法はないとされた事例。
  • 漁港漁場整備法39法1項に基づき、漁港管理者は国有財産法における公共用財産の管理の趣旨に沿って許否を決定する裁量権を有するものというべきところ、本件申請は、占用許可により取得した権利を許可なくして譲渡してはならないという許可条件に違反しているなどから、これを不許可とした本件処分は、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くようなものではなく、県許可基準に沿って適法にされたものとした事例。

横浜地裁 平成22年5月26日判決 (判例地方自治340号91ページ)

  • 温泉法9条に基づく知事の温泉動力装置不許可処分について、温泉特別保護地域における休止源泉の復活を原則として認めない旨を定めた要綱に基づく知事の判断が裁量権の限界を超えるものではなく、適法とされた事例。
  • 温泉動力装置設置不許可処分に当たり、申請者に対し不許可事由該当性の審査基準について説明を行うべきことを定めた法令の規定は存在しないうえ、申請者においても審査基準や手続について認識していたものと推認することができるとして、当該不許可処分に説明義務違反はないとされた事例。
  • 温泉の掘削、増掘又は動力の装置の許可処分の判断基準として、要綱で定められた審査基準を用いたこと自体に違法はなく、また、当該要綱において、温泉特別保護地域において休止源泉の復活を原則として認めない取扱いを定めていることは、専門技術的な判断を基礎とする処分行政庁の裁量権の限界を超えるものでなく、適法であるとされた事例。
  • 湯河原温泉の温泉特別保護地域において、動力の装置の許可申請に対し、神奈川県温泉保護対策要綱の定める審査基準に基づき温泉法に規定する不許可事由に該当するとした処分庁の判断は、裁量権の限界を超えるものではなく適法であるとされた事例。

横浜地裁 平成22年1月27日判決 (判例地方自治337号41ページ)

  • 研究施設に対して神奈川県生活環境の保全等に関する条例3条1項に基づき知事がした指定事業所設置許可について、遅くとも施設関係者と住民との間の話合いにおいて許可の存在を認識できたとして、それから9か月近くを経過して周辺住民により提起された取消訴訟が却下された事例。
  • 神奈川県生活環境の保全等に関する条例に基づき、知事が指定事業所設置許可処分をしたところ、周辺住民らが提起した同処分の取消訴訟につき、本件訴訟は事業所の関係者と住民との間の話合いが行われた日から9か月が経過してから提起されており、出訴期間を経過したことについて正当な理由があるとは認められないとして、訴えが却下された事例。

横浜地裁 平成17年9月14日判決 (判例時報1927号79ページ,判例タイムズ1249号198ページ)

  • 肺がんの疑いにより入院していた循環器呼吸器専門病院の医師が、患者のC型肝炎ウイルスの感染を看過し、患者が転医先病院で肝がんの悪化によって死亡した場合、専門病院への転医勧告義務違反があったとして病院側の債務不履行責任が認められた事例。
  • 死亡した患者の逸失利益の算定において、C型肝炎の完全治癒率が2~3割しかなく、しかも肝細胞がんが発症した場合には稼働が困難になると予想され、平均余命まで延命し通常と同程度まで稼働しえたと認めるに足りる立証がないとして、死亡時からの就労可能期間を6年程度と認めるのが相当であるとされ、また、病院の債務不履行が医師のC型肝炎感染の事実の見落としという初歩的過誤に起因していることが慰謝料算定において考慮された事例。
  • 患者の来院当時既に病態の高度な進行があり、それには患者の約30年間の飲酒量の影響があるだけではなく、その後の飲酒が死期を早めたことも否定できず、また、医師の債務不履行がなくてもC型肝炎に起因する死亡の結果自体は避けられなかったとして、患者の過失割合が4割と認められた事例。