事例紹介

当事務所が過去に携わり勝訴的判決を勝ち取った判決で、判例集に掲載された事案の一部をご紹介いたします。

横浜地裁 平成15年4月16日判決 (判例地方自治245号51ページ)

  • マンションの駐車場部分の構造が立体駐車のための特殊な機械装置を設置するために設計された特殊な建物である場合に、固定資産評価基準に従い、建物の評点基準表として「工場・倉庫・市場用建物」の評点基準表を選定すべきであるとし、それに基づいて再建築費評点数の算出に違法はなく、不動産取得税の課税にも違法はないとされた事例。
  • 登録免許税の課税標準の計算方法は、不動産取得税の課税標準の算出方法とは異なっているので、不動産取得の課税標準と登録免許税の課税標準とが同額にならなくても、必ずしも不合理であるとはいえない。
  • 地方税法403条2項は、実地調査を義務づけるものではなく、また、道府県知事が不動産取得税の課税標準を決定する際に適用されることはない。
  • 家屋に設置される設備のうち、家屋の所有者が所有するもので、家屋に設置されている家屋と構造上一体となっており、家屋の効用ないし利便性を高めるものは、家屋に含めるべきである
  • 照明設備、消火設備、避雷針設備、呼出信号設備、自動車管制設備、電動扉などの建築設備を建物の一部として評価したことが、違法でないとされた事例。
  • マンションの駐車場部分について、地方税法73条の2第5項を適用しなかったことが適法とされた事例。

横浜地裁 平成15年3月31日判決 (判例地方自治 265号64ページ)

  • 神奈川県の知事公舎及びその敷地を民間会社の土地と交換する契約を締結したことが違法であるとして、県知事個人に損害賠償を請求した住民訴訟(4号請求)につき、大規模災害発生などの緊急事態に対応するため県庁により近い位置に新公舎を建設する必要があったから本件交換契約が不要不急であったとはいえないこと、本件土地価格の鑑定時には二項道路に接していたことなどから価格が低く鑑定されていたとしても鑑定の内容が適正でないとはいえないこと、本件契約時に被告に過失があったとはいえないことから、原告の請求には理由がないとして、請求が棄却された事例。
  • 県が所有する知事公舎及びその敷地と民間企業が所有する土地との交換契約が違法あるいは不正であるとはいえず、また、同契約に当たり知事に過失もなかったとして、交換差金相当額の損害賠償請求が棄却された事例。

横浜地裁 平成14年12月16日判決 (判例地方自治 255号39ページ)

  • 不動産登記に関する通達である登記準則及び法務省民事局長通達が、壁面の一方が手すりで囲まれ、上部が開放されているベランダ等は建物の床面積に参入しないとしていることは建物概念の基本に沿ったもので合理性があるとして、バルコニーと廊下を建物の床面積に算入せず特別控除を認めることなくなされた不動産取得税賦課決定が適法とされた事例。
  • 賃貸用の共同住宅に対する不動産取得税の住宅取得の特別控除に必要な要件の床面積の算定に当たり、バルコニーや廊下の床面積を算入せずに同要件を満たしていないとして、当該特別控除を認めずに行われた不動産取得税賦課決定処分が適法とされた事例。
  • 不動産取得税においても、壁面の一方が腰壁又は手すりで囲まれ、その上部が開放されているベランダや開放状の廊下等については建物の床面積に算入しないという登記準則等の考え方が採用されていると解される。

横浜地裁 平成14年4月17日判決 (判例地方自治238号90ページ)

「92から96年度の国体旅費に係る不正流用分1700万円余の使途が明らかになるもの(領収書等)」と記載してされた公文書閲覧申請に対して、国民体育大会派遣旅費調査委員会作成の「国民体育大会派遣旅費調査結果について」を対象文書として特定し、公開した処分が違法でないとされた事例。

横浜地裁 平成6年1月25日判決 (訟務月報43巻8号1741ページ,判例時報1481号19ページ,判例タイムズ845号105ページ)

  • 企業の排出行為に基づく大気汚染被害について、条理、港湾計画・浚渫工事・埋立事業への国の関与、行政指導、ばい煙規制法を根拠として、国の排出規制権限を肯定することはできず、その不行使責任を問うこともできないとされた事例。
  • 工場の排煙と自動車の排気ガスに基づく複合大気汚染による健康被害につき、広域工業地帯に立地する複数の個別企業の損害賠償責任は認められたが、国及び首都高速道路公団の責任は認められなかった事例。
  • 工場等の操業・自動車道路の供用による大気汚染物質の排出について、抽象的な制限を命ずる差止請求が認められなかった事例。
  • 複合大気汚染による健康被害につき、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく補償給付等は、給付の限度において損害賠償額から控除されるべきである。
  • 二酸化硫黄による大気汚染行為につき、企業らは広汎な健康被害をもたらすことを認識して排出行為を行ったとまでは認め難いとした事例。
   

横浜地裁 昭和60年8月14日判決 (判タ 583号82ページ)

工事の騒音・振動により家屋の損傷および精神的苦痛を生じた居住者からの工事業者および注文者に対する損害賠償請求のうち財産的損害については工事業者が補修工事をすることにより解決する旨の和解があったとして慰謝料のみが認められた事例。